カラダが必要とする量を超えたビタミンCは、すべてオシッコになってしまうのだから。
そもそも水に溶けやすいビタミンCは、せっかく血液中に溶けだしても、ほとんど尿として体外に放出されてしまうのである。
得をしたのは、ビタミンC錠剤を大量生産した製薬会社だけだった。
いくらたくさん飲んでも飲むはしからカラダの外に出てしまうのだから、製薬会社にとっては、じつにありがたいビタミンCブームであった。
ビタミンCはふつうの食生活をしていれば、必要じゅうぶんに摂取されている。
いまの私たちの食生活からいって、とりたてて神経質になるほどのことではない。
私たちがもっと注目すべきは、むしろビタミンC以外のカロチノイド類、食物繊維、カルシウムや亜鉛などのミネラルである。
もちろんビタミンCもたいせつなビタミンの1つであることはまちがいないが、だいじなのは1つの栄養素だけにこだわらず、さまざまな栄養素をバランスよくとることだ。
ビタミンC錠剤をボリボリ食べるようなバカバカしいことが起きるのは、栄養素の含有率と吸収率とは別物だということが、一般に意識されていないからである。
栄養学では、よく、レモンよりイチゴのほうがビタミンCが多いなどと、栄養素の含有量が問題にされることが多い。
しかし、この含有率というやつがワナなのだ。
その食物に栄養素がいくら含まれていようとも、それが私たちのカラダに効率的に吸収されなければ意味がない。
食べ物に含まれる栄養素の数字ばかりが1人歩きしている。
食べ物の栄養というものはカラダに吸収されてナンボなのだ。
ここにおもしろいデータがある。
生のトマト、煮こみトマト、煮こみトマトにオリーブオイルを加えたものを食べた場合、血中のリコピン濃度がそれぞれどうちがってくるかを調べたデータである。
9名の被験者を、生のトマトを食べた群、煮こみトマトを食べた群、煮こみトマトにオリーブオイルを加えて食べた群に分け、食べた後のリコピンの吸収率をそれぞれ調べてみた。
すると、煮こみトマトは生のトマトの1.6倍、煮こみトマト+オリーブオイルは生のトマトの4倍の濃度と、大きく数値が変わってくることがわかった。
トマトは生のままで食べるより、煮たり、油で調理したほうがはるかにリコピンの吸収率が高くなる。
ことリコピンの摂取についていえば、トマトは煮てさらに油を加えたほうが、生のままで食べるより栄養的にみてずっと有利な食べ物なのだ。
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